先日、建築中の現場で気密測定を行いました。
結果は――
C値:0.36cm²/m²
この住宅はUA値:0.29W/㎡K
この数値、住宅性能に詳しい方ならピンとくるかもしれませんが、初めての方のために簡単にご説明します。
GX志向型とは?
この住宅は、GX(グリーントランスフォーメーション)志向型住宅として設計しています。
GX志向型とは、ただ省エネなだけでなく、再生可能エネルギーの活用、長寿命で環境負荷の少ない素材の使用、そして将来的な脱炭素社会を見据えた住まいづくりを目指す考え方です。
私たちはその理念に共感し、設計段階から性能重視で進めてきました。
C値とは?
C値とは、「住宅の隙間の大きさ」を示す数値です。数値が小さいほど、家に隙間が少なく、外気が入りにくい=高気密住宅ということになります。
C値の基準目安は以下の通り:
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1.0以下で高気密住宅の基準
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0.5以下で非常に優秀
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0.3以下でトップレベル
今回の0.36は、かなり高水準の気密性を誇ります。
UA値とは? 断熱性能を数値で“見える化”する指標
UA値(外皮平均熱貫流率)は、住宅の外皮(屋根・外壁・床・窓など)を通じて、どれくらい熱が逃げていくかを示す数値です。
単位はW/㎡Kで、この値が小さいほど熱が逃げにくく、家の断熱性能が高いことを意味します。
上越(5地域)でのUA値0.29の意味とは?
この住宅のUA値は0.29W/㎡K。この数値、住宅の断熱性能を高める上で、非常に優秀な部類に入ります。
参考までに、地域区分「5地域」(関東南部・東海・関西など)の住宅で必要とされるUA値の基準を比べてみましょう:
性能等級 | UA値基準(5地域) | 説明 |
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等級4(旧省エネ基準) | 0.87以下 | 最低限の断熱性能 |
等級5(ZEH基準) | 0.6以下 | 一般的な省エネ住宅 |
等級6(HEAT20 G2相当) | 0.46以下 | 断熱等級の上位グレード |
等級7(HEAT20 G3相当) | 0.26以下 | 先進的な超高性能住宅 |
UA値が優れているとどうなる?
✅ 冬も夏も快適な室内環境
UA値が低い住宅では、外気の影響を受けにくく、室温が安定します。エアコンが頑張りすぎることなく、部屋全体が均一な温度に。
1年中快適な空間で過ごすことができます。
✅ 光熱費の削減
高断熱住宅は冷暖房効率が高いため、光熱費が大きく削減されます。UA値0.29レベルであれば、ZEH(ゼロエネルギー住宅)との相性も抜群で、太陽光発電と組み合わせることで「エネルギー収支ゼロ」も十分実現可能です。
✅ GX志向への強い一歩
GX(グリーントランスフォーメーション)とは、脱炭素社会の実現に向けた取り組みです。UA値を抑えることで、住宅の冷暖房にかかるエネルギー消費を削減し、CO₂排出の抑制にも貢献できます。
まとめ:性能 × 環境 × 未来を見据えた住まいへ
今回の気密測定では、C値0.36という優れた気密性が確認され、さらにUA値0.29という高断熱性能が設計通りに実現されました。これは5地域におけるHEAT20 G2〜G3レベルの水準であり、快適で省エネな住宅であることを裏付けるものです。
そこに加えてこの住宅では、以下のようなGX志向型住宅の要素を備えています。
☀️ 太陽光発電で「つくる」
日中は太陽光パネルが再生可能エネルギーを生み出し、家庭内で使用。余剰分は売電も可能で、エネルギー収支の最適化に貢献しています。
🔌 HEMSで「見える化」「管理する」
HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)を導入し、
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電力の使用量
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太陽光発電の発電量
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家電ごとの消費電力
などをリアルタイムで「見える化」
これにより、家全体のエネルギーを“考えて使う”習慣が自然と身に付きます。エアコンや給湯、照明などの省エネ運用にも役立っており、GXを日常で実践するツールとして非常に有効です。
🌿 GX志向型住宅という選択
C値・UA値という住宅の性能的な土台に加え、
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太陽光による「創エネ」
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HEMSによる「省エネ・見える化」
が組み合わさることで、未来志向の住まい方=GXの第一歩がすでに始まっています。
今後は、蓄電池の導入やEV連携も視野に入れながら、エネルギーと暮らしのよりよい関係を模索していきたいと思います。